飲食店やフードデリバリーのサービスを行っている店舗では、商品である料理写真の撮影を行う機会が多いと思います。
またSNSの普及もあり、日常的に料理やスイーツの写真を撮る機会が増えました。
そのような写真を、「美味しそうに撮れない…」と悩んでいる方は少なくないのではないでしょうか。
そこで本記事では、どのように撮影すれば思わず注文したくなる料理写真が撮れるのか、いくつかのポイントを踏まえて解説していきます。
技術面だけでなく撮影に役立つ撮影機材も紹介しているので、その点もぜひ参考にしてみてください。
準備:撮影機材について
まずは撮影機材から紹介します。写真の使用目的によって機材は変わりますが、下記のような機材があると撮影に役立ちます。
- 一眼レフカメラ
- 照明機材(ストロボetc)
- レフ板
- 背景素材
- レタッチソフト
これらは店舗メニューやフードデリバリーのWEBページに掲載するようなオフィシャルの写真を撮影するなら、あるとよいものです。
ではこれらがどのような機能を果たすのか、それを下記に簡潔にまとめまたのでご覧ください。
一眼レフカメラ
- 高解像度で撮影ができる
- 明度、彩度などの調整幅が大きい
- ピント調整により立体的な写真が撮れる
照明機材(ストロボetc)
- 撮影環境の明るさに影響されず撮影ができる
- 明暗を作ることでシズル感が増す
レフ板
- 光を拡散し、やわらかいライティングを作れる
- 逆光でも料理を明るくすることができる
背景素材
- 料理や店舗に合わせた世界観を作れる
- 実際に食事をしているようなイメージ訴求力が高まる
レタッチソフト
- 撮影だけでは出せない色味の調整ができる
- 要所要所の画像修正ができる
この様な機能を果たします。
もし日常の中で撮影する料理写真、またはスイーツの写真を「うまく撮りたい」という目的であれば、ここまで用意する必要はありません。
手元にあるスマートフォンだけでも十分クオリティを高められるでしょう。
思わず食べたくなる料理写真を撮るためのポイント
以下では、お客さんが写真を見て思わず「食べたい!」と思うような料理写真を撮るなら、以下のポイントを意識して撮影を行いましょう。
- 逆光や半逆光のライティング
- 立体感のある盛り付けと奥行きのある配置
- 目的に合わせた構図設定
- 料理が映える背景作り
- レタッチで最終調整
それぞれのポイントについて、具体的にどのような撮り方をすればいいのかを詳しく解説していきます。
料理撮影のポイント1:逆光や半逆光のライティング
料理写真を撮影する際、最も重要になるのがライティングです。
どんな料理も”彩り”や”素材感”が写真から伝わらなければ「美味しそう!」とは思えませんよね。
それを表現するのに必要なのがライティングであり、「明るさ」と「立体感」が大切になります。
料理が明るいことで素材感が伝わり、料理と背景との明暗が出ることでメリハリが出ます。すると、料理に注目がいくよう作り込むことが出来るのです。
逆に順光で料理撮影を行うと、明るさは出ても料理の質感や色味がお客さんに伝わりにくいのです。
そして、立体感のないノッペリとした写真に仕上がってしまいます。
逆光や半逆光を意識することで、質感と立体感のある美味しそうな料理写真を撮ることができます。
料理撮影のポイント2:立体感のある盛り付けと奥行きのある配置
2つ目のポイントは盛り付けと配置です。
ここで言う「盛り付け」は料理の立体感を出すために踏む工程です。
「配置」は複数の料理を1枚の写真に収める際、主役と脇役のような配役をする工程です。
ではそれぞれについて詳しく説明しましょう。
ポイント1でも述べた通り、料理撮影における”立体感”は美味しさを引き出す重要な役割を果たします。
「盛り付け」を行う際のポイントは下記の通りです。
- 料理に高さを出す
- 彩りが全面に出るようにする
“立体感”を出すにあたり、高さと奥行きを作りましょう。
例えばパスタを盛り付ける際、真ん中が高くなるように盛り付けるのと、平坦に盛り付けるのとでは、同じ料理の撮影でも全く違って見えてきます。
このちょっとした手間でグッと写真の印象が変わるので、ぜひ一度試してみてください。
また彩りが出すことで、より食欲をそそる見た目になります。自分でも思わず食べたくなるような盛り付けを行いましょう。
次に、「配置」を行う際のポイントは下記の通りです。
- メイン料理を設定し、最前に置く
- メイン料理にピントを合わせた際、奥の料理がバランスよく見えるように置く
複数の料理を撮影する際には、メイン料理を決めましょう。
そしてメイン料理をカメラの”最前”位置に置き、”ピント”を合わせるように画角を設定するのです。
この工程によって、メイン料理の質感や立体感がより目立ち、奥行きのある写真に仕上がります。
料理撮影のポイント3:目的に合わせた構図設定
3つ目のポイントは構図についてです。撮影する料理写真をどのように”使用”するか、その”目的”にそって構図を考えましょう。
例えばメニュー表のイントロを飾る写真か、メニュー紹介ページ用の写真か、”掲載先”の違いによって構図を検討する幅が広がります。
イントロ用の写真であれば、必ず料理に寄る必要はありません。
店内が素敵なら料理と空間を見せる、素材に拘っているなら調理工程や素材を見せる、人を大事にするなら料理の提供シーンやスタッフの笑顔を見せる…。
メニュー紹介ページに掲載する写真なら、もちろん料理を主役とすべきです。
しかしその中にも、背景も見せるのか、料理だけを見せるのか。この様な選択肢が出てきます。
写真を撮影する”使用目的”と”掲載先”によって、構図の選択肢が増えるのです。
それらに合わせて選定していきましょう。
料理撮影のポイント4:料理が映える背景作り
4つ目のポイントは背景作りです。料理がより美味しく見える下地や、店舗・ショップのイメージに合うアイテムを手配しましょう。
料理写真を撮影する際、料理の次に目立つのが背景です。
背景といっても空間ごと作り込む必要はありません。「画角」によって求められる範囲は変わります。
“斜俯瞰”で”1つの料理に寄って撮影”するなら、お皿周りの下地だけ敷き込めば写真に映る範囲は十分カバー出来ます。
同じ斜俯瞰でも”5つの料理を同時撮影”するなら、お皿周り以上の下地と、そこに添える”小道具”も欲しくなるでしょう。
例えばグラス、カトラリー、季節物のアイテムなど、これらのものが”小道具”に当たります。
“下地”も様々です。店内のテーブル、壁紙、テーブルクロス、バックペーパーなど。
物によっては専門店での手配が要りますので、撮影より早く準備に取り掛かりましょう。
料理撮影のポイント5:レタッチで最終調整
最後のポイントはレタッチです。
本来なら撮影だけで完成形としたいところですが、
- 光の加減
- 空間の色味
- カメラの設定
これらによって、本来の色味を再現できない事があります。
それを補正するのがレタッチ作業です。
レタッチを行う際には、以下のような点を調整してみましょう。
- 露光量
- 彩度
- コントラスト
それぞれについて詳しく解説していきます。
露光量
露光量とは撮影時の光の量を指します。この露光量を調整して、適切な明るさにしましょう。
この際、本来の明るさより気持ち強めに明るくすることをおすすめします。そうすると、素材感が立ち、より美味しそうな写真になるでしょう。
ただし白ごはんやソフトクリームなど、白い料理の写真を調整する際には注意が必要です。
白い料理はそれ自体が明るさを高めるので、露光量を上げ過ぎると、素材感や立体感が飛ぶ恐れがあります。
もし白い料理を含めたレタッチを行う場合は、白い料理の部分を分けて調整すると全体の明るさが整います。
彩度
次に彩度です。彩度とは色の鮮やかさを指します。
彩度が高いと写真の鮮やかさが増し、より明瞭になります。逆に彩度が低いと、色味がなくなり、くすんだ印象になります。
料理の彩度を高くすることで、食材に新鮮味を感じられるようになり、美味しそうな写真に仕上がります。
ただし彩度を上げすぎると本来の色から外れてしまい、不自然になる恐れがあります。写真の全体像を見ながら、不自然にならない加工を行いましょう。
コントラスト
最後にコントラストです。コントラストとは画像の明るい部分と暗い部分の差異を意味します。
コントラストを上げると、明るい部分はより明るく、暗い部分はより深くなるため、はっきりとしたメリハリのある料理写真になります。
コントラストを下げると、明るい部分と暗い部分の差異が均一化し、やさしい印象の写真に仕上がります。
コントラストを上げることで、明るい部分が目立ち、料理のツヤもより立ってきます。それが「美味しそう!」と思えるような写真に近づくのです。
ただし彩度と同じで、コントラストも強くしすぎると、メリハリが効きすぎてキツい印象の写真になります。
こちらも写真の全体像を確認しながら、バランスを考慮して調整しましょう。
料理写真を撮るときのポイントまとめ
料理写真を撮るときのポイントを紹介してきました。
今回紹介したポイントは以下の通りです。
- 逆光や半逆光のライティング
- 立体感のある盛り付けと奥行きのある配置
- 目的に合わせた構図設定
- 料理が映える背景作り
- レタッチで最終調整
ぜひ出来るところから取り入れていただき、美味しそうな料理写真を撮影してみてください。
また七彩工房は広告写真を専門として撮影しており、料理撮影も行っています。
撮影スタジオではキッチンも完備されており、最適な環境で料理撮影を行うことができます。注文数アップや集客アップに繋がるような写真を撮影したいという方はぜひお問い合わせください。